音楽音響研究会夏期セミナー(平成13年9月18日現在)日時 平成13年9月21日(金)〜9月23日(日) 会場 アクトシティ浜松 21日:研修交流センター2階 21音楽セミナー室 22日および23日午前:研修交流センター5階 52研修交流室 23日午後:コングレスセンター43会議室 (住所:〒430-7790 浜松市板屋町108-1 電話053-451-1112,浜松駅から徒歩5分.) ・音楽音響研究会では,毎年,夏期セミナーを開催しております.今年度は,浜松駅前のアクトシティ浜松で開催します.初日を「音楽音響研究へのいざない」と題し,これまで音楽音響にあまり接したことの無い方にも音楽音響について知っていただき,また,音楽を楽しんでいただくプログラムを準備しました.特に,国際的なピアニスト,須田真美子さんのコンサートを開催しますのでご期待下さい.また,多方面で精力的に活躍されている佐藤望さんには,「鍵盤楽器演奏テクニックの変遷」についてデモンストレーションも交えたお話をしていただけることになりました. ・夏期セミナーにはどなたでも無料で参加できますが,会場の都合がありますので,事前に参加のご登録をお願いいたします. ・二日目および三日目の「ショートプレゼンテーション」では,研究発表という体裁を取らず,日頃感じている素朴な疑問,感じていること,問題提起など,自由に発表できる機会を設けております.また,夜には,懇親会を行います.三日目は「音楽音響デモンストレーション」,楽器博物館への見学会等も計画しております.皆様のご参加をお待ちいたしております.初めての方も大歓迎です.また,一日のみの参加でも結構です.なお,最新情報のメール連絡をご希望の方は,幹事の西口までご連絡ください. 参加申込み: ・会場の収容人数が許す限り,夏期セミナーの直前まで受け付けますが,出来るだけ早く幹事の西口までお知らせ下さるようお願いいたします. ・1.お名前,2.ご連絡先(電話番号,ファックス番号,E-mailアドレス等),3.参加予定日,4.懇親会への参加予定の有無をE-mail,ファックス,電話等でご連絡下さい. 宿泊施設: ・浜松駅から徒歩5分のビジネスホテル「浜松サゴーイン」に特別料金の設定を依頼しました.素泊まりの場合,学生料金(相部屋となります)は一泊税込み4000円,個室の場合は税込み5000円です.(インターネット料金より安くしていただきました.改定前は,一泊4000円+税200円,個室料金は一泊5000円+税250円でした.)数が限られておりますので,ご希望の方はお早めに幹事までお申し込み下さい.なお,お車の方は駐車料金一泊800円です. 懇親会: 日時:9月22日(土)午後7時〜午後9時 会場:浜松サゴーイン内レストラン マリポーサ(浜松駅南口から徒歩5分) 会費5,000円 スケジュール 21日(金) [研修交流センター2階 21音楽セミナー室] 13:30〜13:35 開会の挨拶 音楽音響研究会委員長 永井 啓之亮(筑波大学) 第一部 音楽音響研究への誘い 13:35〜15:00 音楽音響チュートリアル 「楽器 − 音と音楽と人間を結びつけるもの」 吉川 茂(九州芸術工科大学) 15:15〜16:40 招待講演 「鍵盤楽器演奏テクニックの変遷」 佐藤 望(慶応大学) (講演要旨) 音を科学的なシステムと捉え,それを合理的に組織化することによって音楽を構成すこと.これは,西洋の音楽の歴史を貫く大きな特徴のひとつである.鍵盤楽器は,その西洋音楽の合理的音組織を,聴覚的にだけでなく,視覚的・触覚的に把握することに貢献し,より複雑でより知的な音楽を創造することを可能とした.作曲家が鍵盤上で音の組み合わせについて考えるようになったのは,鍵盤楽器出現の14世紀以前にも遡ることができると考えられている. 鍵盤楽器は,約800年の歴史のなかでより音域を広げ,複雑な演奏を可能にしていった.同時にならすことのできる音は増加し,単位時間にならす音の数(すなわち早いパッセージの演奏)も可能になっていった.最初は拳で押さえるようにして演奏していたものが,より指の細かな複雑な動きを求めるようになっていったのである.演奏テクニックの発展は19世紀にひとつのピークを迎える. 鍵盤演奏のテクニックの発展は,人間の身体性により大きな負荷を与えるようなかたちで発達していった.それはオリンピック体操競技で,ウルトラCといわれていた演技が,ウルトラD,ウルトラEに淘汰されていくということに若干似ているかもしれない.しかし,人間の身体にも自ずと限界がある.さらには,20世紀になると電子制御と自動化というかたちで人間の身体性に左右されない楽器が次々と発達した.このことが意味することは大きい.これまで音楽家は道具によって同時的な音の多彩さということを制御する方法は知っていたが,音を情報として記憶させる媒体をもつことによって,継時的な音の動きの制御ということがこれによって可能となったからである. しかし,20世紀の音楽が新しいテクノロジー一色に塗りつぶされたわけではない.音楽家たちは引き続き身体性への挑戦を続けている.また20世紀の後半はとくに,ある音楽家たちは16〜18世紀の古い音楽の演奏テクニックを再現し,古い楽器を再現して歴史的にいったん消えていった音響と身体性をよみがえらせる努力をしている.そして,それによってバッハやそれ以前の多くの音楽が現代に生き生きと,人々の心を動かす音となって響いているのである. 本講演では,鍵盤楽器の発達とそれに伴う人間の身体性(フィンガーテクニック)の変化,というものに焦点を当てたい.現代のピアノ演奏は,徹底的なレガートを基本とする.これを前提とした指使いと演奏法が発達するのは主に18世紀後半以降であり,それ以前,音楽はまったく異なる身体的技能を前提としていたということなのである.このことは,1980年代以降以降のいわゆる「古楽復興運動」が「オーセンティックな(歴史的に真正な)演奏」を求める動きのなかで次第に明らかになっていった.それ以前にも,古い音楽が異なるテクニックで演奏されたことはある程度は知られていたが,その解釈には多くの誤謬があり,そのためもあって,かつてのテクニックは「未発達な」ものであったと考えられるのが一般的だった.演奏テクニック復興に努力する人々は,楽器や歴史的資料を音楽の内容的分析をおこなっていき,それは20世紀おわりの音楽学の大きな成果となっている.そして古い音楽の現代にとっての新しい響きを発見していったのである. 今回は,こうした過去の演奏テクニックの復興の動きを概観したうえで,かつての演奏テクニックが具体的にどのようなものであったのか,そしてどのような歴史的資料の裏付けによってそのテクニックについてが明らかになっていったのか,ということを概観する.そして古い演奏テクニックが現在のピアノ・テクニックとどのように異なるか,を,実際の楽器のデモンストレーションも交えて紹介する.(使用楽器は,パリ,フォン・ナーゲル社製1988年.GAHC-c2, 415Hz, フランドルの楽器製作家ブランシェ,1710年モデル)その歴史的な流れを見ていくなかで,人間の耳や感覚が,テクノロジーとどのように関わっていくのか,ということについて考えてみたいと思う. 第二部 ピアノコンサートと特別講演 17:00〜18:30 演奏曲 ベートーベン 「月光」 ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2 シューマン 子供の情景 Op.15 ショパン ポロネーズ第1番嬰ハ短調 Op.26-1 ショパン バラード第1番ト短調 Op.23 「会場は楽器?? ピアニストの考えるアレコレ...」 須田真美子(ピアニスト) 須田真美子氏 プロフィール 佐藤望氏 プロフィール 吉川茂氏 プロフィール 22日(土) [研修交流センター5階 52研修交流室] SP:招待講演(SP1,2:60分,SP3:80分),L:一般講演(35分) SH:ショートプレゼンテーション(15分),D:音楽音響デモンストレーション 9:00〜10:35 セッション:ピアノ
II-1 ピアノの音響学的研究のレビュー −21世紀におけるピアノ研究の出発点−(SP1)
中村 勲 II-2 ピアノにおけるパーフェクト・チューニングについて − 連成現象による2段減衰発生のメカニズム −(L) 高澤嘉光(電通大),森太郎(徳島大),徳弘一路(神奈川工大) 10:35〜11:00 休憩 11:00〜12:15 セッション:楽器音響 (I)
II-3 連成振動を考慮したギター弦振動のシミュレーション(SH)
大井聖也,高澤嘉光(電通大),徳弘一路(神奈川工大) II-4 2次元ピックアップを用いたギタ−奏法に対する弦のねじれとスペクトル計測(SH) 吉澤友孝,徳弘一路(神奈川工大),高澤嘉光(電通大),山家清彦(音楽演奏環境研究所) II-5 異なる材質の表板が装着されたときの薩摩琵琶の撥弦音特性の一比較(SH) 田口友康(甲南大),藤内鶴了(日大豊山高) II-6 ピアノ弦振動特性の実験および数値解析による検討(第4報)(SH) 加藤光一朗,西口磯春,佐々木正孝(神奈川工大) II-7 笙の物理モデルの様々な演奏法生成への応用(SH) 引地孝文,小坂直敏(NTT研究所),板倉文忠(名古屋大) 12:15〜12:25 国際会議参加報告
II-8
田口友康(甲南大)他 12:25〜13:30 休憩 (12:25〜12:30 平成12年度音楽音響研究会会計報告) 13:30〜14:45 セッション:音楽音響 −ノンフィジカルアプローチ (I) (オーガナイザー 山田真司(大阪芸大))
II-9 時間的な側面での音と映像の相互作用(SP2) 菅野禎盛(九州システム情報技術研) II-10 映像と音楽のためのビートトラッキングシステム(SH) 田沢 将,高澤嘉光(電通大) 14:45〜15:00 休憩 15:00〜16:10 セッション:コンピュータ利用 (I)
II-11 MIDIピアノを用いたピアノ学習支援システムにむけて-音階演奏におけるベロシティとデュレーションの測定-(L)
秋永晴子(夙川学院短大) II-12 音響情報のMIDI符号化ツール「オート符」の開発(L) 茂出木 敏雄(大日本印刷) 16:10〜16:40 ショートプレゼンテーション予備,休憩 16:40〜18:00 セッション:楽器音響 (II)
II-13 サイレント楽器の活用と今後の課題(SP3)
村上 和男(ミクムス研究所) 19:00〜21:00 懇親会 23日(日) [午前:研修交流センター5階 52研修交流室] [午後:コングレスセンター43会議室] 9:00〜10:20 セッション:音楽音響 −ノンフィジカルアプローチ (II)
III-1 "Never End"に見る安室奈美恵の「あとノリ」(L)
山田真司(大阪芸大)呉松愛子(フェイス) III-2 韓国人と日本人のリズム知覚−タッピング法を用いた研究−(SH) 橋本裕美,柳恵英,山田真司(大阪芸大) III-3 純音対を用いた音楽的協和性についての一実験(SH) 西村 明(東京情報大),加藤充美(くらしき作陽大) III-4 音楽を用いた気分誘導による絵画評定への影響(SH) 古賀弘之(広島大・院生) 10:20〜10:35 休憩 10:35〜11:55 セッション:コンピュータ利用 (II)音楽音響 −ノンフィジカルアプローチ (III)
III-5 楽曲のゆらぎ情報およびスペクトル情報の抽出(L)
田中 実,伊藤直樹,飯島秀亮,山川佑介,横関 圭,吉澤友孝,渡邉誠之,徳弘一路,西口磯春(神奈川工大),高澤嘉光(電通大) III-6 ゆらぎ情報およびスペクトル情報を用いた楽曲の自動分類(SH) 伊藤直樹,飯島秀亮,田中 実,山川佑介,横関 圭,吉澤友孝,渡邉誠之,徳弘一路,西口磯春(神奈川工大),高澤嘉光(電通大) III-7 ミハルスの音色と複数振幅ピークとの関係−スペクトル?それとも時間的構造?−(SH) 町田周代,山田真司(大阪芸大),西口磯春(神奈川工大),細田淳子(東京家政大) III-8 音響管モデルによるリコーダー音の合成(SH) 白岩洋子,岸憲史 (電通大) 11:55〜13:00 休憩 13:00〜14:30 音楽音響デモンストレーション
III-9 音合成システム「おっきんしゃい」とその楽曲創作への応用(D)
小坂直敏(NTT研究所) III-10 超音波を含むシンバル音 −生音と再生音との比較−(D) 西村明,小泉宣夫(東京情報大) III-11 クラシック音楽のCD制作における録音技術 −録音における音楽と音響のあり方をめぐって−(D) 鈴木和秀(録音エンジニア),亀井延明(明星大),井上裕光(千葉県立衛生短大) III-12 音楽録音におけるマルチチャンネルステレオの可能性(D) 亀川徹(NHK放送技術局) 14:30〜14:40 休憩 14:40〜 ショートプレゼンテーション予備・閉会の挨拶等
音楽音響研究会委員長 永井 啓之亮(筑波大学)他
15:00頃〜 (楽器博物館見学,希望者のみ.入場料はご負担ください.) 問合わせ先: 夏期セミナーの内容に関するご質問など,ご遠慮なく下記までご連絡下さい. 音楽音響研究会 幹事 西口 磯春 Tel/Fax. 046-291-3151,E-mail: nishiguc@sd.kanagawa-it.ac.jp 〒243-0292 厚木市下荻野1030 神奈川工科大学 システムデザイン工学科 戻る | |